質問主意書09.01.29(質問第20号)

質問主意書09.01.29(質問第20号)

今も戦後国が買い上げた農地に小作料を払い続けている実態について、
所有権がないのに固定資産税が課せられている矛盾について質しました。

2009(H.21)年1月29日提出(質問第20号)
国有農地等及び開拓財産に関する質問主意書・答弁書の内容

戦後まもなく行われた農地改革から、すでに60有余年が経過し、昭和史に記録されるような過去に行われたこととされているが、現在でも自作農ではなく、小作人として使用料を払い続けているケースが存在している。農林水産省において、農地法改正の議論が開始された現段階において、すべての過去の遺産を清算するべきであると考え、以下質問する。

▼質問1:
農地改革の精神は、地主が所有する農地を国が買収し、小作人に原則売り渡すことによる自作農の創設が大きな柱であったが、その後六十年以上が経過した現段階でも、小作人状態のまま留め置かれている者がいるのはなぜか。

△答弁:
国が買収したものの売渡しが行われていない農地については、現在も、耕作又は養畜の事業に供するため、国が貸付けを行っているものがあるが、これは、小作農が買受けの申込みをしなかったこと、経営面積が零細であることなどから売り渡しても自作農として精進する見込みがなかったこと等の理由から、買収当時売渡しを行わなかったものである。また、国の買収後、当該農地が市街化区域内に所在することとなったものは、売払いの相手方が小作農ではなく、買収する前の所有者及びその一般承継人(以下「旧所有者等」という。)となっているが、いまだ旧所有者等による買受けがない等の理由から、現在も、国が貸付けを行っているものがある。

▼質問2 :
平成21年1月1日現在、国有農地等及び開拓財産は、どれだけの面積があるのか。都道府県ごとに、面積を示されたい。

△答弁:
都道府県別の国有地等(食料安定供給特別会計農業経営基盤強化勘定国有財産管理規程(昭和28年農林省訓令第102号)第2条に規定する国有農地等をいう。以下同じ。)及び開拓財産(同条に規定する開拓財産をいう。以下同じ。)の面積については、会計年度ごとに整理しており、平成20年3月31日現在における国有農地等の面積については、

北海道 273万305平方メートル、 青森県 4,215平方メートル、
岩手県 1,052平方メートル、 宮城県 8,059平方メートル、
秋田県 21,416平方メートル、 山形県 8,902平方メートル、
福島県 33,323平方メートル、

茨城県 22,874平方メートル、 栃木県 308,771平方メートル、
群馬県 252,147平方メートル、 埼玉県 31,509平方メートル、
千葉県 335,017平方メートル、 東京都 285,543平方メートル、
神奈川県 228,651平方メートル、

新潟県 119,585平方メートル、 富山県 11,697平方メートル、
石川県 924平方メートル、 福井県 4,298平方メートル、
山梨県 66,330平方メートル、 長野県 201,329平方メートル、
岐阜県 58,448平方メートル、 静岡県 226,328平方メートル、
愛知県 44,532平方メートル、 三重県 35,623平方メートル、

滋賀県 9,050平方メートル、 京都府 47,465平方メートル、
大阪府 133,852平方メートル、 兵庫県 76,542平方メートル、
奈良県 33,827平方メートル、 和歌山県 60,233平方メートル、

鳥取県 96,375平方メートル、 島根県 29,050平方メートル、
岡山県 51,470平方メートル、 広島県 59,555平方メートル、
山口県 57,313平方メートル、

徳島県 95,354平方メートル、 香川県 6,588平方メートル、
愛媛県 341,351平方メートル、 高知県 24,480平方メートル、

福岡県 66,600平方メートル、 佐賀県 3,275平方メートル、
長崎県 36,812平方メートル、 熊本県 44,356平方メートル、
大分県 6,049平方メートル、 宮崎県 4,110平方メートル、
鹿児島県 1,103平方メートル 及び 沖縄県 0平方メートル

となっている。

また、同日現在における開拓面積についは、

北海道 7,666,633平方メートル、 青森県 58,399平方メートル、
岩手県 58,399平方メートル、 宮城県 20,016平方メートル、
秋田県 275,044平方メートル、 山形県 22,767平方メートル、
福島県 81,112平方メートル、

茨城県 651,574平方メートル、 栃木県 191,501平方メートル、
群馬県 318,385平方メートル、 埼玉県 535,815平方メートル、
千葉県 1,876,638平方メートル、 東京都 207,375平方メートル、
神奈川県 134,020平方メートル、

新潟県 9,662平方メートル、 富山県 126,432平方メートル、
石川県 1,094,216平方メートル、 福井県 156,807平方メートル、
山梨県 66,330平方メートル 、 長野県 1,170,431平方メートル、
岐阜県 100,992平方メートル、静岡県 6,393,280平方メートル、
愛知県 53,441平方メートル、 三重県 1,368,986平方メートル、

滋賀県 1,040,689平方メートル、 京都府 863,598平方メートル、
大阪府 150,992平方メートル、 兵庫県 1,705,230平方メートル、
奈良県 150,361平方メートル、 和歌山県 666,442平方メートル、

鳥取県 323,461平方メートル、 島根県 13,002平方メートル、
岡山県 275,434平方メートル、 広島県 1,140,426平方メートル、
山口県 48,528平方メートル、

徳島県 147,821平方メートル、 香川県 30,427平方メートル、
愛媛県 14,953平方メートル、 高知県 2,490,586平方メートル、

福岡県 495,332平方メートル、 佐賀県 59,690平方メートル、
長崎県 1,752,468平方メートル、 熊本県 1,312,070平方メートル、
大分県 564,504平方メートル、 宮崎県 1,394,353平方メートル、
鹿児島県 833,302平方メートル 及び 沖縄県 435平方メートル

となっている。

▼質問3:
質問2の国有農地等及び開拓財産の内、使用料を徴収し賃貸している面積は、どの程度存在するのか。都道府県ごとに、面積と使用料の収入額を示されたい。

△答弁:
平成20年3月31日現在における都道府県別の国有農地等の面積のうち使用料を徴収している面積及び平成19年度における使用料の収入額については、

北海道 159,649平方メートル及び4,859,361円、
青森県 0平方メートル及び0円、
岩手県 1,052平方メートル及び6,312円、
宮城県 3,275平方メートル及び23,177円、
秋田県 12,798平方メートル及び422,628円、
山形県 4,221平方メートル及び47,225円、
福島県 9,740平方メートル及び1,077,761円、

茨城県 8,716平方メートル及び148,261円、
栃木県 118,140平方メートル及び2,357,865円、
群馬県 105,124平方メートル及び3,195,954円、
埼玉県 21,658平方メートル及び9,049,985円、
千葉県 142,760平方メートル及び31,257,792円、
東京都 227,428平方メートル及び53,184,733円、
神奈川県 111,273平方メートル及び14,138,388円、

新潟県 45,919平方メートル及び645,580円、
富山県 6,107平方メートル及び13,283円、
石川県 423平方メートル及び11,420円、
福井県 72平方メートル及び57,395円、
山梨県 39,708平方メートル及び638,451円 、
長野県 136,502平方メートル及び20,487,051円、
岐阜県 20,192平方メートル及び107,913円、
静岡県 57,078平方メートル及び4,477,287円、
愛知県 26,291平方メートル及び739,304円、
三重県 13,218平方メートル及び1,636,729円、

滋賀県 4,377平方メートル及び39,266円、
京都府 25,967平方メートル及び3,778,463円、
大阪府 98,625平方メートル及び55,921,376円、
兵庫県 22,986平方メートル及び3,436,064円、
奈良県 21,940平方メートル及び2,559,950円、
和歌山県 21,148平方メートル及び2,348,234円、

鳥取県 54,661平方メートル及び1,520,022円、
島根県 19,189平方メートル及び132,763円、
岡山県 37,661平方メートル及び11,039,975円、
広島県 15,245平方メートル及び172,763円、
山口県 15,001平方メートル及び1,438,932円、

徳島県 62,585平方メートル及び820,444円、
香川県 131平方メートル及び655円、
愛媛県 110,531平方メートル及び6,189,310円、
高知県 6,775平方メートル及び108,202円、

福岡県 31,735平方メートル及び2,481,874円、
佐賀県 2,680平方メートル及び16,721円、
長崎県 5,801平方メートル及び59,041円、
熊本県 23,139平方メートル及び3,379,250円、
大分県 1,335平方メートル及び12,581円、
宮崎県 765平方メートル及び6,120円、
鹿児島県 0平方メートル及び0円  並びに
沖縄県 0平方メートル及び0円

となっている。

また、同日現在における都道府県別の開拓財産の面積のうち使用料を徴収している面積及び平成19年度における使用料の収入額については、

北海道 0平方メートル及び0円、
青森県 0平方メートル及び0円、
岩手県 0平方メートル及び715,185円、
宮城県 0平方メートル及び145円、
秋田県 119,910平方メートル及び102,991,209円、
山形県 0平方メートル及び0円、
福島県 0平方メートル及び0円、

茨城県 952平方メートル及び188,164円、
栃木県 14,170平方メートル及び8,886,438円、
群馬県 3,024平方メートル及び319,39円、
埼玉県 1,864平方メートル及び1,864円、
千葉県 21,769平方メートル及び14,158,815円、
東京都 21,769平方メートル及び16,922,206円、
神奈川県 3,602平方メートル及び3,002,269円、

新潟県 0平方メートル及び0円、
富山県 0平方メートル及び0円、
石川県 1,195平方メートル及び38,416円、
福井県 122平方メートル及び9,658円、
山梨県 3,574平方メートル及び108,357円 、
長野県 12,691平方メートル及び409,195円、
岐阜県 0平方メートル及び0円、
静岡県 12,181平方メートル及び800,825円、
愛知県 4,018平方メートル及び440,271円、
三重県 18,941平方メートル及び4,283円、

滋賀県 7,352平方メートル及び1,709,703円、
京都府 2,081方メートル及び11,469,978円、
大阪府 4,084平方メートル及び3,071,930円、
兵庫県 3,815平方メートル及び289,954円、
奈良県 4,408平方メートル及び4,520円、
和歌山県 107平方メートル及び14,568円、

鳥取県 3平方メートル及び300円、
島根県 161平方メートル及び143円、
岡山県 1平方メートル及び180円、
広島県 18,205平方メートル及び61,930円、
山口県 0平方メートル及び0円、

徳島県 0平方メートル及び0円、
香川県 0平方メートル及び0円、
愛媛県 0平方メートル及び0円、
高知県 0平方メートル及び0円、

福岡県 6,651平方メートル及び553,013円、
佐賀県 0平方メートル及び0円、
長崎県 4,711平方メートル及び4,924円、
熊本県 7,923平方メートル及び342,030円、
大分県 1平方メートルおよび77,856円、
宮崎県 195平方メートル及び31,838円、
鹿児島県 0平方メートル及び0円、 並びに
沖縄県 435平方メートル及び5,698円

となっている。

▼質問4:
地方税法第343条第1項には、「固定資産税は、固定資産の所有者(中略)に課する」とあるが、国有農地等を賃借し使用料を負担している小作人に対し、所有権がないにもかかわらず、固定資産税が課税されているのはなぜか。

△答弁:
地方税法(昭和25年法律第226号)第343条第5項の規定により、農地法(昭和27年法律第229号)第78条第1項の規定によって農林水産大臣が管理する土地については、買収した日から国が当該土地を他人に売り渡し、その所有権が売渡しの相手方に移転する日までの間はその使用者をもって所有者とみなし、固定資産税を課することとされている。これは、国が自ら買収した土地については、その所有権はいったんは国に移転するが、その後耕作者等に売り渡されることが予定されているため、所有権が国にある場合でも、現に当該土地を使用収益する者が存在する間は、その使用者を所有者とみなして税負担を求めることが、土地の使用の実態や課税の公平性の観点から合理的であるとの考え方に基づくものである。

▼質問5:
質問4の小作人がその権利を子供などに継承した場合、相続税は発生するのか。

△答弁:
相続税法(昭和25年法律第73号)第1条の3第1号に規定する者が、相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生じる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した場合には、同法第2条1項の規定によりその取得した国有農地等に係る賃借権は、その財産に該当することから相続税の課税対象となる。この場合において、その賃借権の価額を含めた相続人等全員の相続税の課税価格の合計額が同法第15条に規定する遺産に係る基礎控除額(以下「基礎控除額」という。)を超えるときは、相続税額が算出されることとなる。

▼質問6:
質問5について相続税が発生するとの答弁であれば、所有権を有する農地を相続する場合や、農地以外の区分土地を相続した場合との税額・税率の違いはどうなっているのか。

△答弁:
相続税額は、各相続人等が相続又は遺贈により取得した財産ごとに価額を定め、その価額の合計額から基礎控除額等を控除した後の金額を基に算出されるが、その際に適用される税率は、その金額及び各相続人の法定相続分等に応じて定まるものであり、課税対象となる財産が所有権であるか又は賃借権であるかなど財産の種類によって異なるものではない。

▼質問7:
国有農地等及び開拓財産の売り払い先は、使用者か、旧所有者か。土地の使用状況などにより異なる場合には、ケースごとに説明を求める。

△答弁:
国有農地等及び開拓財産であって、市街化区域内に所在する等自作農の創設又は土地の農業上の利用の増進の目的に供しないことが相当と認められるものは、原則として、農地法第80条第2項の規定により、旧所有者等に売り払うこととされている。
また、これら以外の国有農地等及び開拓財産であって、小作地等である場合は、原則として、同法第36条第1項の規定により、その土地につき現に耕作又は養畜の事業を行っている者で、自作農として農業に精進する見込みがあるものに売り渡し、小作地等以外の土地である場合は、原則として、同項の規定により、自作農として農業に精進する見込みがある者に売り渡すこととされている。